手を繋いで文化は廻る

世界のあらゆる文化は須く全て繋がっている。それらは互いに手を取り合い、共存共栄し、高めあい、人々をより豊かにする。私は自身が得た文化の一端を伝えていく事でその一助となりたい。

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BEASTARS観て後悔しました。

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アニメを観た事を後悔しました。何故もっと早く出会わなかったのかと。

僕が物語で欲しかった全てが有りました。

完膚なきまでにボコボコにされた気持ちです。

 


これほどまでに一見シンプルさをキープしたまま感情をギッコンバッタン揺らされた物語はアニメ・漫画ではちょっとない。

 


「この漫画がスゴい大賞」をもっとちゃんとチェックしようと思いました。

 


表面的に見て、リアル版どうぶつの森ほのぼの日常モノ、マンウィズから着想を得た擬人化モノ、肉食系とか草食系とかの比喩をそのまま展開させたモノだろうぐらいの認識で、興味対象から外していた過去の自分を殴りつけてやりたい。

 


ミステリー・ジュブナイル・ダークヒーロー・美女と野獣的ラブコメ・政治・ヒューマンドラマ・専門カテゴリーモノ、アクション、様々な要素を含めたノンジャンルモノ。

 


擬人化動物達による社会の出来事は、現実社会に跋扈する人間の行動心理を落とし込んだ問題を暗喩表現し、そしてまた動物である特性からなる設定とネタの作り込みは緻密だ。

 


プロット専攻型の作り方だと思うんだけど、あれほどまで平易かつ深みのある物語と、サブプロットだろうと思う話の筋だけで連載三、四本分はありそうな内容をぶっ込んでスラスラとロジカルに流れる展開力は天才と言わずして何と言おうか。

 


その背後に夥しいレジェンド漫画家達の影が見え、

特に手塚治虫の影が色濃いと思った。

外面を人外に置き換えて人間の精神性を蒸留する方法などまさに。

 


動物に理性を持たせ、肉食動物と草食動物を同じ箱の中にぶち込む。

法や政治によって共存を図るも、本能は抑圧されているだけで、弱肉強食の原理をありありと残したまま、歪なパワーバランスで揺れ動いているのは人間社会の縮図でもあり、強者が強者ゆえに弱者であり、弱者が弱者ゆえに強者足り得、またその逆の思想も存在している。

 


人間社会と違うのは、同じように生活し、言語も通じる「動物」が、捕食者と被食者である点だ。

カニバリズムの方はこの世界観のほうが共感しやすいだろうか。

動物的本能と人間的欲求が混在し、ラブコメするにも生と死が同居している。

 


擬人化動物それぞれのキャラ設定も秀逸で、

役割に合った動物のチョイス、ポリシーの持たせ方、

行動原理の謎もちゃんと回収してくれる。

アクションシーンのちょっとした攻略法も微に入り細に入りである。

 


動物毎のアニメーションの拘り、シーンでの見せ方、心理描写も素晴らしくて、

肉食動物の野生にコンプレックスを抱くシカのルイの視線の動き、

ヒロインであるウサギの女性慣れしてない男が勘違いしそうなあざとい身振り手振りなども凄い。

 


というように、

ビースターズの世界観を人間社会に置き換えるという逆輸入的な事をしながら観ても面白いし(これこそマンウィズっぽいな)、

ぼーっと観てても素晴らしいエンタメである。

 


カエルの子はカエル。

勇次郎の息子は刃牙

刃牙の子は獣。

 


続き気になり過ぎる。