手を繋いで文化は廻る

世界のあらゆる文化は須く全て繋がっている。それらは互いに手を取り合い、共存共栄し、高めあい、人々をより豊かにする。私は自身が得た文化の一端を伝えていく事でその一助となりたい。

MENU

小説

【読書感想】辺見庸の自動起床装置

もの食う人々で有名な辺見庸の芥川賞受賞作。 僕は睡眠が下手だ。 のび太のように寝付きは良くないし、 寝起きはさらに酷い。 というのは言い過ぎにしても、 僕のせいでRAIDEN社の轟音の起床装置が、 何度虚しい独言を吐いたか分からない。 メタルギアソリッ…

【超短編小説】或る虚言

夏場の30度を越す暑さは、三郎の体をジトついた体液で纏わせるには充分で、上体を起こす際に、敷布団が生命を得たかのように背中についてくるのが三郎の心をより億劫にさせた。 シャワーを浴びたかったが、直ぐに出なくてはならなかった。時計は14時を過ぎ、…

【小説感想】「函の中の失楽」面白すぎる。いや、2日で読みました。

知り合いからすすめられ、その場で借り、 本の厚さに躊躇していて、やっと重い腰を上げ読んで見たら、 ページを繰る手が止まらず2日で一気読みして今です。 感想など言うに及ばず。 これを面白いと言わずして何を面白いと言えばいいのか。 23歳のデビュー作…

【ショートショート】焦点

「分かんないわ。今の事しか」 そう言って、俯いて黙ってしまう君や、君の周りの薄ぼんやりした風景を、コンビニの防犯カメラみたいに一点からただ眺める事しかできなかった。手を差し伸べる事も、未来に目を向けさせてあげる助言も、世界で上手くやっていく…

第三話・くだらない超現象、徐々に奇妙な箱物語

目を開けるとそこは、大きな老舗の百貨店でした。柱や天井の切れ間に歴史を感じさせる黒ずみが見え、ずっしりとした重厚な空気が店内に緊張感を漂わせているが、それが自信によるものなのか不景気による消沈によるものなのかは分からなかった。何故ならこの…

第二話・藪からスティックまた来て死角。

庵野杏が行方不明となって三日が経とうとしていた。僕はあの記録的大雨の日から風邪で床に伏せていた。涙と熱と汗でぐちゃぐちゃの身体はカンピョウを蒸した様な塩梅ですこぶる調子が悪く、朦朧とした頭は終日生命維持だけが生業だった。世間はてんやわんや…

第一話・濁水の中、高架下は睡蓮で

激しい雨が降っていた。突風に舞い、十円玉は有ろうかという雨粒が、目の前の風景をスノーノイズの如く覆っていた。 突然の事に通りの人達は高架下に駆け込み、ずぶ濡れになった衣服をハンカチやハンドタオルなどで拭くが焼け石に水だ。直ぐにグッショリと濡…

発射台にも立てなかった僕です

https://qta3.tumblr.com/post/107594997287 qta3.tumblr.com 発射台にも立てなかった僕です 隅っこでつぶやいた言葉です それでもそこには意思があり 世界の本質があったのです 時に朝明け 怒りはなく平穏で でも少しだけ泣きたくなっています こんなはずじ…