手を繋いで文化は廻る

世界のあらゆる文化は須く全て繋がっている。それらは互いに手を取り合い、共存共栄し、高めあい、人々をより豊かにする。私は自身が得た文化の一端を伝えていく事でその一助となりたい。

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【散文詩】酩酊

 

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 辿り行く道程は険しく、誂えた真紅の外套にそぐわない真っ青な表情。

 

 

 きっと明日さえ解らず、芳しい新世界の赤ワイン、チリか、スペインか、まだ知らないどこかの国か。グルナッシュの香りが感覚を狂わせる。酩酊の真夜中。何層にもレイヤーを重ねた視界。極限の混沌。血みどろの赤。世界が裏返る。宙がどちらであったか忘れた。何かにぶつかるが痛みを感じない。無痛病にでもなったかと思ったが、思い切り頬を殴られ酷い鈍痛と衝撃が脳を揺らす。一層濃い赤が外套をまだらの赤にする。あぁ、地面に血が滴る。天地がはっきりする。まだなおらない、きっと一生治る事はないのだ。しみったれた路地に倒れ込み、恥ずべきはずの心と共に、私は何もない虚に巣を作る。それでは虚ではなく有ではないかと思われたが、虚には虚しかなく、有たり得ない。私は悲しくなって涙を流す。何かが頬を伝う。血か涙か解らない。もう何もかもわからない。後ろ盾もない。煙たい朝のスピーチを聞きたい。その疎ましげにみる目を潰してやりたい。間違っているのだ。お前達が。間違っているのだ。そうだ。私の存在を誰も否定できない。否定することを拒否する。中指を突き立てる。フライパンをひっくり返す。スクランブルエッグがコンロで焦げて黒い塊になる。フランベしてスウェーすれば一応食えるようになる。夕方には何もかも片付いている。今が何時なのかは解らないが、生きていれば夕方はやってくる。夜だってある。朝だってある。はっきり分けられるような時間じゃないものだってくる。琥珀色の人生の一端をお守りみたいにぶら下げている。サルトルの斜視。マイルスの1番目の嫁。コスタスマノラスの守備。ヴォードレールの猫。煙草を吸いたい。ポケットにはクズばかりで、幾許かの汚らしい小銭がチリチリと手をかすめる。五臓六腑に染み渡らせたい。世界の悪を取り込みたい。明日の天気を知りたい。排便してスッキリしたい。見る影も無い初恋の相手に愛撫したい。理想のキックをかまして、蝶をくゆらし歌いたい。ハードボイルド小説に出てくる刑事を罵倒したい。私の暴力衝動は、怒りはそんな所に現れる。67時間サイクルで回る。拐かされたドーパミンが嘘を垂らす。鋭利な言葉、シニカルに彩られたパステルカラーのドア。暖色と寒色、モノクロがセピアに変わってギザギザに跡を残す。私はその行き先を見送って、先走った脳を休める。

 

 固まり始めた血を拭い、宙を歩く。

 

 星を触ってみる。

 

 冷たいカエルの触り心地。

 

 

 信号待ちで会う隣人の花束。