手を繋いで文化は廻る

世界のあらゆる文化は須く全て繋がっている。それらは互いに手を取り合い、共存共栄し、高めあい、人々をより豊かにする。私は自身が得た文化の一端を伝えていく事でその一助となりたい。

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カフェ

 

店を構えたり、音楽を作ったり、

日々の行動や思想を垂れ流すのは、

一つに自己表現、

エゴ丸出しの、純粋なマスターベーションの要素がある。

 


自分の趣向を、赤の他人が好いてくれるのは嬉しい。

と同時に、全く賛同してくれるなとも思う。

天邪鬼の同族嫌悪。

 


生活できているのだろうかとお節介にも心配してしまいたくなる様な、

ガランとしたカフェが好きだ。

 


店主のエゴにあふれた、

一体どう生きてきたらこんな室内を誂えることができるのだろうかといった。

 


ぞんざいに溢れかえる本やレコード、

ミッドセンチュリーの家具やスピーカー。

 


店主は決まって世捨て人の様で、

世俗に相容れなそうな人見知りノマドの風体。

黒縁メガネの奥には少し少年の面影があるが、

達観し、相手を見すかす様な感じもある。

 


コーヒーを頼むと、

少し物臭そうに、でもお客が来たことを喜んでいる様に、

かちゃかちゃと静まり返った店内に響かせ、

ソっとこちらに差し出す。

 


美味しいかまずいのかもわからない。

そもそも不味いコーヒーなど、

泥でも入れて出さない限り出しようもない気がする。

 


料理を頼むと大体美味い。

薄暗い店内にそぐわないフレッシュなサンドイッチだったり、

本格的なパスタが出てきたりする。

 


食べ終わり煙草をくゆらせば、

幸福感の混じった溜め息が煙と共に漏れる。

 


持ってきた本をじっくりと読む。

 


これ以上の人生の幸福などあるのだろうか?

 


小銭で買える静けさは、

都会の喧騒の中ではそれ以上の価値を持つ。

 

 

 

こんな空間にずっと浸れたら良いなと、

自分もこじんまりしたカフェを経営しているところを想像する。

 


それはそれで良い人生なのかもしれないが、

自分の自由が制限されてしまいそうで恐い。

 


理想というのは程遠いのが常であって、

隣の芝も青く見えやはりやんなきゃよかったと、

後悔するのが目に見えている。

その自分の性分がたまらなく憎い。

 


でもいつか、

自分にとっての理想郷が、

どこかに作っていける様に、

色んな物事を知り、学び、

より豊かになっていける様に精進したいと思った。

 


そして世捨て人の風体となって黒縁メガネでもかけたなら、

今の自分の様な人間の居場所をひっそりと佇ませよう。

 


そんなふうに思って、

今日もどこかのカフェに足を運ぶのです。

 

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