手を繋いで文化は廻る

世界のあらゆる文化は須く全て繋がっている。それらは互いに手を取り合い、共存共栄し、高めあい、人々をより豊かにする。私は自身が得た文化の一端を伝えていく事でその一助となりたい。

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【散文詩】記号

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雑然と積まれた記号

一、二番目だけが目的の運河に流れ

悟った商人の嘆 慟哭は地べたに圧着する

 

霧がかる沙羅双樹の裏手で告白するメダカ

対面する雛菊はこともなげに直進し

或る方法論からすれば好手

テールランプの紅がU字を描く

 

ホテルの屋上に根差した

ブルックリン流行のロリータスタイル

ヘルベチカで綴られた愛も

欺瞞も誓約書の血判も

全て終わりだと笑い

次の台風の名前を予測するゲームに興じる

清浄なる真意さえ

コンクリートを揺らす材料にはならず

絶え絶えになった脳裏の近未来が

指揮者のタクトのトランペットへの執拗な指示に変わる

 

過去

選択したラベルに付けられた赤字を

今になって琥珀色だったと気づき

夕食の味噌漬けのきゅうりが

彼の人差し指だったことを思い出した

喉奥に通る感触は

冬の鹿の12時の足跡を辿り

網目模様の縦糸を黄色に塗り直す

 

きちんと揃えたはずの枕が歪み

ギリシャヨーグルトは広告代理店を間違える

虎の威を借るフトアゴトカゲが

埃がかった規律に奉公し

愛蜜

香車を動かして

善意を問う

滑稽な孤立

純然の長兄

生まれてきたはずの賄賂が

意義を悟りはじめた頃に出荷され

育て親の目尻を焼き付ける瞳

 

一寸先の円が

細切れに歴史を刻む

エクスクラメーションが靡く

疑問が夜をうむ