手を繋いで文化は廻る

世界のあらゆる文化は須く全て繋がっている。それらは互いに手を取り合い、共存共栄し、高めあい、人々をより豊かにする。私は自身が得た文化の一端を伝えていく事でその一助となりたい。

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もういいのです

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もういいのです

いいかげん 諦めてしまいなさい

慎ましくしめやかに

落葉の中をダンスするように

わずかばかりの麦を分け与えるように

豊穣の神が怒ったとしても

私だって腹が立っているのです

ひりつく儲け話も

邪魔になるだけで

最後の晩餐だと

また明日も言いながら

フォークを温める

ナイフをマサカリ投法で投げる

投げられた王は覚醒し

カンフーのアクロバティックで

円錐形の橙色を仰け反らせる

誰もがビーチフラッグに群がる

脳髄を急ピッチで立ち上げる

南西の風やや左向きに炎上し

あけすけの太陽に

また懲りもなく名をつけようとする

赤く灯る悪魔

トップ下頼りで

急勾配の株式市場に

サイバーパンク通過儀礼

ほくそ笑む死神と

ありきたりの真夜中

大混戦の様相を呈しており

右向かいの呉服屋は

大滝の流れみたいに仕舞い出す

 

休まる所を知らないのに

肉体は留まっていて

精神の先送りに

虹を見た事はあるのでしょうか

 

「盲目的に隷属する事は誰だって嫌だろう

自由という言葉の甘さを知ってしまっては

煌びやかな遊郭が開けっ広げになっているように

そんな直接的な煩悩ではないにしろ

誌面の奥に感じるキナ臭さよりも

冬の匂いに懐かしさを感じる方が健全だ

という洗脳にも似た価値観を破棄せよ」

 

合わせ鏡に吹き込まれる

襟を正してズボンを下ろし

履いてきた靴を右手に嵌めて

左手のスマートフォン

明日の生きかたを聞く

 

途端ひっくり返る

何故こうも納屋の奥は暗いのか

誰もいないはずの闇に

無限の雑言が蔓延り

結末までのプロットが用意されている

 

アスタリスクの先に

自分の物語を見つけた時

私はただただ発狂し

狂うというのは正常ではない事だと

当たり前を自覚するぐらい狂い

物哀しさと嘯く季節に反抗する気持ちを交えながら

適当な混沌と安っぽいカタストロフの中を

一生彷徨い続けるほかないと悟る

 

それもいいかと

ささやきにもたれ掛かるように

皮張りの未来に体重を預けると

嘘みたいに軽くなった肉体が

月の横に鎮座していた

ような気がした

 

夜空にナイフが投げ込まれ

大きく裂けると

鹿の内臓が飛び散った

それは私のもので無かったが

同時に私のものであるようでもあった

堕胎する放物線

中庭で待つ子供

健やかなる虚に巣食う

本当の残穢

西日暮里にだけ降る集中豪雨を黒崎町で見ている時のような

疎外感&安堵

釣り堀に垂らすドッグフード

 

陽光がまばらな直線で

地面に当たり

跳ねている

そこに季節外れの紫陽花が照らし出されていた

あるいはそれは

ベランダに干された下着だったのかもしれない

どちらが真実であったにしろ

目の前の世界は

過去であるという認識をしている

私はどこにいるのだろう

 

七色に光る罪が

青空に切り込まれている

次第に遠のいていく

何も見えなくなって

カキャと混じる束の間

諦めだけはつけることができた

 

生活

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君の明日は

あいも変わらず一色足らない虹色のようで

胡乱な影が埋め尽くしている

珈琲屋を血眼に探す

19時のモーニングの需要を考える

本屋で立読みをすると

ぼんやりした頭にひらひらと文字が霞んでいく

朝に会えるはずだった鳥を

互い違いに埋めていくヒヤシンスを

懐古主義の鈍く光るスプーンで掬うと

車厘を踏台にしたホイップが煙の中に揺れる

 


角度を鋭敏に捉えると

握りの甘い苦味が

当直の赤髪の弁当売りを

なにか同情とも哀れみとも応援とも

一目惚れとも違う感情で

視界の端っこで

尻目で

見切れて

いってしまったあと

昔住んでいた木造の一軒家の

鍵を開ける感触を思い出した

 


どういうはずか

布丁を探していたはずなのに

淡い幻想は一瞬で食べ尽くされてしまうのに

そのことで今や昨日、3年後が変わるはずもないのに

家の書棚に蟷螂を見つけた時のような

虚を眺める実像としての動きに

疲れたタイル地のコバルトブルーを添える

そんな行為に見出すのは

シュールさの怠慢ではなく

ただ或るはずの後ろめたさだ

 


Gペンで直線を走らせるように

定義やDNA

原子の歪みを正せたなら

溝に落ちた符丁など気にすることもなく

満遍なく凸凹をならして

マッチングサービスの左を無くし

乳飲子の薬指に南蛮漬の唐辛子をはめてあげるのに

 


雑草に名前があるように

雑念にも名があるのなら

図録を買って見せびらかしたい

本を繰る感触に

3つの雑念がある事を教えたい

 


橙色のラムプに

人間は今もノスタルジーと破壊を見るか

主で或るはずのパドルに

日光浴の最終的な局面に

輪廻82回目の最中に

漉餡か粒餡か決めかねている人指し指に

細部に宿るはずのものは

大局にはいないのか

概念は内面の許容量次第で

数字の1の大きさは

万人に平等ではないように

パイソンを躊躇なく屠ることは

プログラミングされていない

 


生活

いかされることのない痛みや喜びを

それと定義づけることは浅はかにも思える

しかし往々にして

我らが先祖の背中には

いつも石膏板の穴のような暗闇があって

贅沢な迷いをまっすぐ進みながら

囀りに耳を貸すことも

肩を組んで笑い泣き

噛み締めた何かを

舐め尽くすこともできる

行為を宥め賺し

冷やした生垣に刺さる西日が

もう少しズレてくれればいいと

願うことで

今日が終わってしまうのもよいのかもしれない

 


そんな日は

珈琲でも飲まなければ

明日にかかる過去との分岐点が

錆びたカラビナのように見えてしまって

やりきれない

 


もう少し純度の高い

距離と度数があれば

測りきれない羅列を

迎え入れられるのに

 


ソーサーにカップを置く音が聞こえる

 


添えられた鈍く光る明日が

過去と同じ目をしていたはずで

フェリー乗り場に佇むように

水面を反射させていた

 

セリヌンティウスが

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セリヌンティウス

欲しいと思った

 


僕は

昨日

 


斜め向かいの猫も

黙って日溜りに揺れているだけだったから

 


けれど僕は

正直者ではない

誠実さの欠片もない

 


僕を信じているのは僕だけで

時計の針に怯えて

只管の外灯の温もりを

甘んじて享受する術を持った小人だ

 


分析していたとき

鉛筆を走らせる音に混じって

ブラジルに雨が降ったのだった

 

 

 

2年後

 

 

 

僕らは互いに

なし崩し的に

敬意を持って

車前を踏み散らしながら

アルプススタンドの端で

声を枯らしながら

過去を吐瀉塗れにした

濡れたパーカーは投げた

 


9回裏は信じられなかった

信じてもいなかったものに裏切られた

小麦粉と水を中途半端に混ぜたような感情が

土足で踏み入れてくるのを許してしまった

 


笑いたい

笑いたい

笑っていた

笑う

笑ってしまった

笑い合ってしまった

涙もついでに流れた

笑え

もっと笑え

笑う

もっと早く笑う

笑い合ってしまっていた

 


これは  そうでしかなかった

嬉しい

溜息と共に

これからが入り込んでくる目眩がきた

 


ラクラする

 


手と手が結ばれる

 


感情線がギザギザの手が

神経を愛撫する

 


小指の先には

いつまでも自分らしさが構えている

 


しかし白球に祈りを捧げても

無神論者の神はこともなげに

否決した

 


チクリと針が小窓を刺す

 


「アイガーリー」

 


歓声の中で

それだけが聞こえた

 

 

 

笑っていた

笑ってみませんか

君は去れども